新事務所のリフォームと熊本地震

その後、ご報告がずいぶんと遅くなってしまいました。

熊本県西原村の物件は事務所兼店舗として機能させるには
理想的なものでした。
広い庭もあって、さらにその奥には1反ほどの畑もあります。
農業体験や各種イベントもできそうです。
すぐさま、契約書を取り交わすことになりました。

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契約のお世話をしてくれたのは、
藤本和想建築の社長である藤本さん。
古民家や日本の伝統工法、自然の建材にとことんこだわる人で、
この人の「いやあ、ここはよくなりますよ」という声に
背中を押されての契約でもありました。
漆喰や土壁を塗ったり、土間をたたいたり、
自分たちでできることはできるだけやりたいという思いにも
「やりましょう、やりましょう」と同調してもらいました。

いったん梁と柱だけのスケルトンにし、
床を張り直し、アルミのサッシ部分は、
木の建具に作り替えるというプランです。
設計図を見ていると、うっとりしてしまいます。
移転後は、あんなこともできそう、こんなこともできそうと
夢がどんどん膨らんでいました。
移転はは7月下旬の予定でした。

家の中の荷物を片付け、不要な壁や天井は崩し、床を貼り始めました。
スタッフも週末には西原村に通って、
大きな梁の上にたまったほこりを払ったり、
畑の畝を立てたり、庭の木の剪定をしながら
壁塗りのタイミングを待っていた、そんな時でした。

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平成28年4月14日21時26分、熊本地方を強い地震が襲いました。
この時は熊本市内の事務所にいたのですが、
ものの見事に机や棚から書類と食器が飛び出し、
一瞬にして足の踏み場もないような状況になってしまいました。
いったん、残っていたスタッフを自宅に帰し、まずは家の片付け。
翌日は朝から事務所の片付けです。
「いやあ、それにしてもすごかったね」と皆と話しながらも、
西原村の移転先のことが気になっていました。

何とか仕事ができる状態にまで事務所を片付けたところで
西原へ向かいました。
熊本市から西原村へ向かう途中、益城町を通ります。
そこには熊本市内の状況からは考えられないような光景が広がっていました。

古い家屋がことごとく倒壊しています。
胸騒ぎがしました。
もしかして、うちの新事務所も…。

現場につくと、建物は無事でした。
瓦も落ちていません。
「いやあ、たいしたもんだ。あの揺れに耐えるとは!」
そう安堵して、家路についたのでした。

その日の、夜中。
最初の揺れから28時間後の4月16日午前1時25分。
本震が来ました。全く想定外の揺れでした。
熊本市内の事務所は大きな窓ガラスが割れ、水槽が吹っ飛び、
せっかく片付けた荷物は、10倍返しで散乱していました。
スタッフの安否を確認するために連絡をとっていると、
移転を前提に西原村に転居していた新人から
「西原の事務所、だめでした」と報告がありました。
西原村でも震度7を記録していました。
最初の前震のダメージもあったのでしょう。
今回は耐えきれずに、バッタリといってしまいました。

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それから2ヶ月。
避難所だったり、車中泊だったり、
収まることを知らない余震だったり。
何だか気持ちも体も落ち着かない状態が続いています。
西原村への移転は諦めざるを得ない結果となりました。
6月20日に発売を予定していた「九州の食卓 夏号」の編集作業も、
継続すべきかかなり迷いました。
熊本県内の取材先も予定していたため
そこから見直さなければいけない状況です。
「そんなことしている場合か」という気持ちもありました。

しかし、私たちにできることは
これまでと変わらず、九州のおいしい情報を
読者の方たちにお届けすることだという考えに行き着きました。
できるだけ普段通りに、淡々といつもの作業を行うことだと。
ただし、巻頭特集の企画だけは差し替えました。
震災後にずっと感じていた「便利さに頼りすぎることの危うさ」を
みなさんと共有し、今までのくらしを見つめ直す
きっかけとなるような企画にしたかったのです。

九州の地で自給自足を目指す、3組の家族を取材しました。
そのくらしのスタイルには、力強さを感じました。
土と自然とともに暮らすことの、揺るぎない安定感を感じました。
何とか発売日までに、その記事をお届けすることができて
今はホッとしています。

さて、事務所移転の話です。
西原村のような理想的な環境ではなりませんが、
菊池郡大津町に新しい物件を藤本さんが紹介してくれました。
元々、藤本さん自身が新たな事業のための拠点として考えていた場所で、
店舗と倉庫が一体となったような不思議な建物です。
肥後大津駅前で、畑こそありませんが
事務機能に加えて、物販やイベントを行うにはよさそうな所です。
熊本市内の事務所は7月いっぱいで退室することが決まっていたので
バタバタの契約、リフォーム作業です。
倉庫部分を事務所にする計画ですが、現状では壁もなくオープン状態。
床はコンクリートの打ちっぱなしなので、
床も作らなければいけません。

今後は、そちらの移転計画をお伝えしていくことにしましょう。

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